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脳のなかの水分子―意識が創られるとき |中田 力

脳のなかの水分子―意識が創られるとき脳のなかの水分子―意識が創られるとき
中田 力
紀伊國屋書店 刊
発売日 2006-08
価格:¥1,680(税込)
オススメ度:★★★




脳のアクアポリン 2006-10-24
2003年、水チャネルの発見によりJohns Hopkins大学のPeter Agreにノーベル化学賞が授与された。彼が、赤血球膜蛋白を調べて行くうちに発見した水を選択的に通す輸送体は水チャネル(アクアポリン)と名付けられ、その類縁蛋白も次々と発見された。原核生物から真核生物に至るまで共通に存在する輸送体として、いかにもその機能が重要であろうと思わせる、そんな膜蛋白である。

脳では、どうか? 

それには、既に答がある。ニューロンにはアクアポリンは存在しない。そして、グリアにはアクアポリンが存在する。それが、アクアポリン4である。

脳科学者・中田力は、本書の中で、脳における水の重要性を説く。

脳の環境を保つための安定したバッファーとして。そして、何よりも熱力学的に脳が確率論的自己形成を行うという「渦理論」の担い手として。

彼の「渦理論」には熱対流を起こす媒介が必要であり、それが水である。水のクラスター構造が全身麻酔薬の作用機序にかかわるというポーリングの説を登場させ、そしてアクアポリンの役割を述べている。

中田氏は、脳のグリアが形態学的に示すマトリックス構造は発泡スチロールのような構造であり脳神経を守る緩衝材の役割を果たし、その形成にはグリアのアクアポリンが大切であると主張する。

一方、この世には、脳にアクアポリン4が存在しないマウスも誕生している。驚くべき事に、そのマウスは一見正常に見え、しかも脳虚血を起こさせると、むしろ正常マウスより脳浮腫になりにくい事が報告されている。ともかく、マウスが、寝て、起きて、食事して、日々の暮らしを送るには、アクアポリン4は無くても困ってなさそうに見える。

中田氏が自説を証明するためには、この「アクアポリン4・パラドックス」に対する明確な解答を示さなければならないだろう。


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この記事は2006/12/3に作成しました。
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2006.12.03 Sunday : - : -